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【勉強会開催報告】安易に薬を混ぜていませんか? 混ぜることのメリット・デメリットとは!

お知らせ

普段は重症心身障害児(者)の病院で看護師をされているBOCプロバイダーの山本ななえさんに、「薬を混ぜること」についてお話してもらいました。

── 薬は必要だが、注意も必要

薬と食事と生活は切っても切れない関係です。日常的に薬に接する立場にいると、医師からの処方に何も疑問を持たずに内服介助してしまいがちです。昔から飲み合わせや食べ合わせについて言われていることがありますが、あれは昔の人のただの「おまじない」ではない場合も多くあります。患者様にとって薬は必要なものですが、それと同時に注意も必要になります。

—— 薬を混ぜるということ

混ぜるという言葉を辞書で引くと「種類の異なるものを一緒にすること」と載っています。薬を混ぜることは、「混合」や「配合」といいます。
薬を混ぜることで、均等に塗布できたり、吸収を高めたりすることができます。また、小児の場合は味やにおいで拒否されることもあるので、ゼリー状のものやジュース、アイスクリーム、チョコなどに混ぜて飲ませることはよくあります。

—— 薬を混ぜることの落とし穴

薬を混ぜることで飲みづらさを軽減することができますが、混ぜることで効果が減少したり、変色したりすることがあります。また、かえって苦みが強調されたり、酸味が出たり、沈殿や有毒性が生じる場合もあります。例えば、牛乳・乳酸菌飲料のカルシウムイオンと反応して底に沈殿が生じる薬も存在しています。
また、外用薬でも混ぜると変化するものがあります。すでに薬局で混ぜて処方されるものに関しては基本変化があるものではありませんが、重ねて塗布するときや塗布する場所が近くて混ざってしまう時には注意が必要です。例えば防水効果のあるワセリンを塗った上から、他の薬を塗ると吸収が阻害されてしまう場合があります。

── 着色する薬剤とは

薬の影響で口腔内が着色してしまう場合もあります。例えば、鉄剤に入っている「鉄分」とお茶などに含まれる「タンニン」が反応して歯の表面が黒褐色に着色します。この場合、入れ歯であれば、次亜塩素酸と超音波洗浄ですぐにきれいにすることができます。
他にも、パーキンソン病の薬であるレボドパとエンタカポンも、単体では着色しませんがマグミットとの飲み合わせで口の中が黒くなったり、テトラサイクリン系の薬を妊婦や子どもに与えると、胎児の歯や子どもの永久歯が変色することも報告されています。
また、薬の成分やコーティング剤によって尿や便の色が変わるものもあります。

── まとめ

薬の内服前に確認することはとても重要なことです。特に「配合不可」「配合不適」「配合注意」の薬には注意が必要といえます。

・配合不可・・・混ぜると有毒物になったり、薬効が著しく減弱する薬なので、医師へ差し戻したり、疑義照会を行います。
・配合不適・・・混ぜると懸濁したり沈殿したり、別の工夫が必要になります。
・配合注意・・・文字通り、配合に注意が必要です。

それぞれ内服前にしっかり確認していきましょう。

今回もたくさんの方にご参加いただき、有意義な交流を持つことができました。
今後も、BOCグループ一同、継続して学んで参りましょう!次回のセミナーもお楽しみに!
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一般社団法人訪問看護支援協会認定「BOCプロバイダー」は、病院や在宅医療、訪問介護の現場で基本的な口腔ケアを行うBOCプロバイダーの認定資格講座です。

※BOC:Basic Oral Care
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監修: 片山陸(薬剤師)
薬局ガレリア
https://pharmacy-galleria.com/