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【勉強会開催報告】認知症でも楽しく食事をするために!「3大認知症別 食事動作の特徴とケア」
お知らせ二次救急病院やデイサービス、終末期や訪問リハビリのご経験があり、インスタグラムで認知症情報を発信されている、作業療法士の「まほ先生」に、認知症別の食事動作の特徴とその対応について教えていただきました。
── 3大認知症とはどんなもの?
認知症には大きく分けて3種類あります。まず、全体の7割を占めるのが「アルツハイマー型認知症」で、これは、脳内に異常なたんぱく質が溜まり脳が委縮することが原因で発症する認知症です。
次に多いのは「レビー小体型認知症」で、約2割の方が該当します。これはレビー小体という異常なタンパク質が脳内に溜まることで発症し、パーキンソン症状や幻覚などを引き起こします。
脳梗塞や脳出血の後遺症として起こる認知症は「脳血管性認知症」といいます。これは脳の損傷部位によって症状が異なり、麻痺や失語症、感情失禁など様々です。
—— 食べたことを忘れちゃう? アルツハイマー型認知症
「アルツハイマー型認知症」の食事動作の特徴をして、まず多く見られるのは「食事したことを忘れてしまう」ことです。これはエピソード記憶の低下により食事したこと自体を忘れてしまうために起こります。
対応策としては、
•食事を出す際に朝食や昼食であることを声掛けし見当識に働きかけり
•食後に食べ終わった食器をそのまま置いておく
ことが効果的です。
他にも
「食事中に気が散ってしまう」
「箸やスプーンの使い方を忘れてしまう」
「食欲低下」
などの食事の特徴があります。
それぞれ、
•食事に集中できるよう視界を遮断すること
•食べ始めにスプーンを一緒に持って口まで運ぶこと
•日中活動量を増やすこと
などで対応することができます。
── 筋力の低下が食事動作に影響 レビー小体型認知症
パーキンソン症状によって筋肉が硬くなり、嚥下の行う筋力も働きにくくなることでムセやすくなるのは「レビー小体型認知症」の特徴のひとつです。
飲み込む力が弱くなるため、誤嚥性肺炎にもつながります。また手先が不器用になるため細かい動作がうまくいかず、箸やスプーンを上手く使えなくなるため食べこぼしが増えたり、動作が緩慢になるため食事時間が長くなることもあります。
また筋力の低下で長時間座位姿勢が取れず体が傾き、誤嚥の原因になります。その場合は、テーブルやいす、また食器やスプーンを見直し、クッションやバスタオルを使って姿勢を保つとよいでしょう。
食事姿勢は、膝や足首を直角に保ち、体とテーブルの距離はこぶし1つ分ほどが良いといわれています。
── 脳の損傷によって引き起こされる 脳血管性認知症
脳の損傷部位により症状が異なるのは「 脳血管性認知症」です。
よく見られる症状としては、
「利き手が麻痺して食事動作が行いにくい」
「嚥下能力が低下している」
「半側空間無視によって食べ物が見えにくい」
といったものがあります。
「半側空間無視」とは、脳の右半球の損傷によって引き起こされるもので、視力の問題とは別に左側の空間が認識しにくいというものです。
この場合、左側にある食事を残してしまうため、食事を真ん中よりも右側寄りに置くことで食事がしやすくなります。
また、複数の食器があると左側を無視してしまう傾向があるので、1品ずつ提供することも効果的です。
【まほ先生のまとめ】
より良い認知症ケアを行うために、「認知症で起こりやすい食事動作の特徴を理解しておく」こと、そして、「症状を見るのではなく、患者様自身を見る」ことが大切です。適切な対応をすることで、QOLの向上やご家族の介助量軽減にもつながります。今後も一緒に学びを継続しましょう!
今回のセミナーにも多くの方が参加してくださいました!
次回のセミナーもお楽しみに!
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