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【連載】めぐるBOCプロバイダー探訪⑷〜社団協友会「越谷誠和病院」緩和ケア認定看護師看護師 太田飛鳥さんの場合〜

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【連載】めぐるBOCプロバイダー探訪⑷〜社団協友会「越谷誠和病院」緩和ケア認定看護師看護師 太田飛鳥さんの場合〜

 

 

 

 

1) はじめに 

 

看護師経験を経て写真家として活動する工藤葵が、医療や介護現場で働くBOCプロバイダーを密着取材し、対話と写真を通して生き様を探る連載企画です。第四回目は医療法人社団協友会「越谷誠和病院」、緩和ケア認定看護師の太田飛鳥さんです。

 

 

2) 社団協友会「越谷誠和病院」、看護師の太田飛鳥さん

 

今回、取材させて頂いた太田さんは、越谷誠和病院の医療療養病棟に所属されています。

 

越谷誠和病院は昭和59年、埼玉県越谷市に142床の病院として開業されました。医療機関が少なかった当時から、地域の人びとにとって欠かせない存在の病院です。さらに今回、新たに「越谷誠和訪問看護ステーション」が開設され、より頼れる医療機関を目指し、進化を続けています。

 

―――太田さんが所属している「医療療養病棟」とは?

 

当院の「医療療養病棟」には、急性期治療が終了後して病状が比較的安定している方が入院されています。退院して自宅で療養される手前の段階で、医療的なケアや病院での療養が必要な方々が多くいらっしゃいます。

 

 

 

3) 決め手は「老年期の方への看護」

 

「私は幼い頃から、足の不自由な祖母と、耳があまり聞こえない祖父と暮らしてきました。車椅子を押す事やジェスチャーを使ってコミュニケーションを取る事が普通の環境で育ち、その為か、保育園の卒業文集に“看護師さんになりたい”と書いていました。その思いのまま、衛生看護学科のある高校に進学し、20才で看護師になりました。」

 

医療が身近に、当たり前にある暮らしをきっかけに、老年期の方々と多く接することができる誠和病院を選んだ太田さん。それから16年もの間、勤続されています。医師、リハビリスタッフ、患者さんに、別け隔てなく声をかけている姿が印象的でした。

 

若葉マークを名札に付けた新人看護師に対し、「大丈夫?頑張れ…!」と笑顔の太田さん。私自身も不安でしょうがなかった看護師一年目の頃、先輩看護師の何気無い一言に助けられていた事を思い出しました。

 

「この病院にはずいぶん長くお世話になっていますので、おそらくほとんどのスタッフと話した事があると思います。人見知りもしませんので、どのスタッフにもフラットに話しかけています。わからない事もすぐ専門職の同僚に聞いて教えてもらっています。

私自身がたくさん助けてもらっているので、同じように自分が聞かれたり、依頼を受けた際には、できるだけ力になりたいと思っています。認定看護師になった事で、以前より相談を受けたり声をかけて頂く機会も増えましたね。」

 

 

4) 看護師という仕事が好きだから

 

看護師は、多忙な業務に追われながらも、患者さんやご家族の為に懸命に考え、話し合い、様々な問題と常に向き合っています。太田さん自身も、緩和ケア認定看護師としての活動や「越谷誠和訪問看護ステーション」の立ち上げなど、病棟外での役割も多い中

 

「看護観が近いスタッフがいてくれる事で、患者さんの為に自分達が出来る事を一緒に考え、悩み、実践する事が出来る。頑張れるのは彼女たちのおかげ。」

 

と、病棟スタッフに対する気持ちを語って頂きました。

 

医療療養病棟には、病状が比較的安定している患者さんが入院されているとはいえ、決して落ち着いた病棟ではなく、余裕を持って看護が出来る環境という訳ではありません。

 

取材中、患者さんが使用するマットレスを交換する事になり、師長さんが「交換しましょう〜!」と先頭を切って動いている姿を見て

 

「こうやって立場関係なく動いてくれる上司の存在が勉強になるし良いなぁと思うんです。」

 

と、太田さん。

 

 

―――新型コロナウイルスの影響は?

 

「面会制限により、ご家族と話をする機会が減ってしまいました。患者さんとご家族の関係性を見る事が出来ず、看護をする上で必要な情報をキャッチする事に難しさを感じています。」

 

現在、多くの医療機関や介護施設では、新型コロナウイルス感染症による影響で面会制限がなされています。患者さん自身も気軽には出歩けない環境にストレスがたまりますし、看護師が行う業務も増えています。病棟での課題も尽きません。

 

―――健康な暮らしとは、「自分らしくいること」と考える太田さん。看護師として特に大切にしている事は?

 

「“今日は時間がないので明日やりましょうね“とお話ししていた患者さんが夜間に急変し、翌日出勤した際には亡くなってしまっている。そんな経験から、“明日が必ずあるとは限らない“と考えるようになりました。時間がないではなく作る。明日やろうではなく今日やる。患者さんとの一瞬一瞬を大切にしたいです。」

 

また、看護師という仕事がとにかく大好きで、「もっと知りたいし、学びたい!」。そう思える自分に驚く事もあるそうです。

 

 

 

5) 「BOCプロバイダー」の仲間がいる

 

―――そんな太田さんが「BOCプロバイダー」になったきっかけは?

 

「緩和ケア認定看護師の学校で、口腔ケアは最後まで大事なケアだと再認識しました。自分だけでなく、ご家族が行えるケアもあるのではないかと考え、正しい知識を持って伝えたいと思いました。口腔ケアを継続的に学ぶために、BOCプロバイダー講座を受講しました。」

 

 

また「BOCプロバイダー」のFacebookグループで、他の看護師の方々が同じように困っている事や工夫している事を共有している姿を見て、「私だけじゃないんだな」と感じました。

 

越谷誠和病院には、同じくBOCプロバイダーのST細井春花さんも勤務されています。太田さんと細井さんは「BOCプロバイダー」としてタッグを組んで、スタッフやご家族向けの勉強会、フローチャートの作成などを画策されています。

 

「出来る事からコツコツ始めて、少しずつ仲間を増やしたいと思っています。」

 

そう話す太田さんは、自分にとっての「看護」を追求し、学びを止めずに今日も挑戦を続けています。

 

 

 

◯撮影・取材協力

-社団協友会「越谷誠和病院」

http://seiwa-amg.com

-太田飛鳥さん(緩和ケア認定看護師)

 

◯執筆・撮影

-工藤 葵

写真家、元老健の看護師。写真を通して「生きる眩しさ」を表現している。

HP:https://aoikudoaonisai.wordpress.com

IG:https://www.instagram.com/aoikudo_aonisai/