特別講師：白石　菜保子先生（南労会紀和病院）

保有資格：慢性呼吸器疾患看護認定看護師、3学会合同呼吸療法士、特定行為修了者、BOCインストラクター

 

 

今回の宮城公演(7/28)は「人生は口で決まるかもしれない」をテーマに開講しました。

 

 

「清拭はされているのに口腔ケアがされていない患者様がいる。清拭も重要だが、生命に直接関わるのは口腔ケアではないか。」これは白石先生が講座の最初におっしゃられた言葉です。医療・介護の現場では、口腔ケアの優先度が低く後回しにされている現状があります。白石先生はこのような状況を変えたいと考え、2014年からご自身が働く病院内で口腔ケアチームを立ち上げ活動されています。

 

 

今回は、主に口腔ケアチームでの取り組みと口腔ケアと誤嚥性肺炎の関係性についてご講演いただきました。また、口腔ケアをなかなかさせていただけない認知症高齢者への対応など、受講者の皆様が知りたいと感じておられた内容でした。

 

 

主に口腔ケアチームでの活動について記載しておりますのご覧ください。

 

 

口腔ケアチームの活動年表

2014　口腔ケア用品の売店での販売。(永山USブラシや吸引クルリーナブラシなど必要な物品を院内の売店で取り扱い、気軽にご家族に購入していただける環境を整えた。)

 

2015　入院時BDR指標　、口腔内アセスメントシートROAGを電子カルテへ導入（病棟スタッフが、入院時や日々の口腔内を評価できる仕組みを導入した。）

 

 

2016　急性期病棟で入院時訪問を開始し口腔ケアの評価を実施（患者様を評価するだけでなく、口腔内の状態に応じて口腔ケア用品を選択できるフローチャート表を作成し、物品の選定で悩まない仕組みを整えた。）

 

 

 

活動を開始した2014年からの3年間で、院内の口腔ケアに対する意識を高め現在も院内研修やラウンドを継続している。また、地域の口腔ケア事業にも参加し、医療介護施設を対象とした口腔ケアの指導をされています。

 

 

一見、華やかにみえる活動ですが、家族に購入してもらったケア用品が開封されずベッドサイドにおかれたままになっていたり、ケア方法が浸透せずうまくいかないこともあったと話されていました。

 

 

様々な活動を通して白石先生が感じたことは、口腔ケアの技術や情報を伝えることも大切だが、それだけではなかなか口腔ケアが浸透しない。口腔ケアは、感染予防で命を救うことや食の支援、発声することに関わりQOLと深い繋がりあり、とても重要であることを認識し、心の琴線が震え、やらされるのではなく自分から率先して口腔ケアを行うようになることが重要だと。

 

 

今回の講座は、実際の現場で先頭に立って活躍されている看護師さんの活動や思いなどを感じることができる講座でした。白石先生自身の目標である「看護師として誤嚥性肺炎を予防しながら口から食べることを支援する。」ために活動を継続するという締の言葉に、今回受講していただいた看護師の方々も共感されたことだと思います。

 

 

白石先生の患者さん、スタッフ、オンライン講座を受講された方々、目の前の人を大切にする姿勢、看護が熱く伝わりました。口腔ケアは、看護師と看護師の間をバトンでつなぐケアであり、心を知る、心に寄り添う、たくさんの事例を通して口腔ケアに限らず、看護を振り返ることができるすばらしい内容で、目頭と心が熱くなり、間違いなく心の琴線が震える講座となりました。

 

 

 

参加者の声

・とてもパワフルな講義で、同じ看護師として熱い気持ちになった。口腔ケアの質を高めていきたい。

・口腔ケアチームの活動を参考に、自分の病棟内でも取り組んでいきたい。

 

 

BOCプロバイダーの講座では、医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士、栄養士などの専門家がそれぞれの専門領域と口腔（ケア）とを掛け合わせた講義を行っています。Facebookグループ内で全て配信しておりますので、引き続き学びを継続していただけたら幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

 

〜お知らせ〜

【BOCアカデミー１期生募集のご案内】

2020年9月から、BOCプロバイダーを対象に、医学研究・看護研究をサポートする新しい講座「BOCアカデミー」が始まります。BOCアカデミーでは、研究の基礎から実践（論文投稿、アクセプトまで）を一人一人のレベルや環境にあわせてサポートしていきます（１０名限定）。2020年7月31までお申し込みを受け付けておりますが、定員になり次第募集終了とさせていただきます。残席２名となっておりますので、お早めにお問い合わせください。

お問い合わせ先 ： 訪問看護支援協会事務局　砂田