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BOC×EBM
お知らせ5/23の福岡公演(オンライン講座)は、「口腔ケア×EBM」をテーマに開講しました。
講師紹介
特別講師:加藤智崇先生
経歴:
東京都立墨東病院口腔外科2006-2008
日本歯科大学 大学院2008-2012
福岡歯科大学2012-2018(総合歯科学講座高齢者歯科学:助教)
University of Washington2018-2019留学
日本歯科大学附属病院総合診療科2助教2019-現在
キーワード:EBM=エビデンスではないEBM(Evidence根拠にbased基づいたMedicine医療)
「なぜ口腔ケアとEBM?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。B O Cプロバイダーは口腔ケアについて学び続け、それを伝える役割を担っています。学習で得た知識や技術(エビデンス)を患者さんに実践する時に必要になる考え方がEBMです。実際に読み進めていただきますと「BOC×EBM」という意味を感じていただけると思います。
口腔ケア×EBMというテーマは、BOCプロバイダー認定資格講座ならではのユニークな講座です。講座の内容をまとめておりますので、是非ご覧ください。
まず、EBMの基本的な考え方を2つ説明させて頂きます。
3つの輪「①臨床研究から得られた根拠②臨床的技量③患者の価値観」この3つが合わさったところがEBMです
また、EBMの5つのステップ(問題の定式化→情報の収集→批判的吟味→患者への適応→フィードバック)の一連の流れを丁寧に行うことがEBMです。
”EBM=エビデンスではない”の重要なポイントは、エビデンスを患者さんに押し付けてはいけないということです。
5つのステップいずれも重要ですが、EBMでもっとも重視しているのは”目の前にいる患者さん”です。素晴らしいエビデンスだとしても患者さんにどう適用させるかによって結果は左右されます。医療従事者が患者さんの価値観とエビデンスを、巧みに適応させ最善の着地点を見つけることが鍵となります。
例えば、「歯磨き指導の現場」で起きる問題点を考えてみます。心当たりがあるかもしれませんが、良かれと思って行う熱意のある指導も、押し付ければ押し付けるほど患者さんと対立してしまうことがあります。先行研究では、歯磨き指導を行った30日後に、それを順守した患者さんはわずか11%であったと報告されています。(Johansson et.al J Clin Periodontol 1984)
集中的に一回指導するのではなく複数回介入することで、患者さんの持続的なモチベーション維持につながるという研究結果が出ています。
加藤先生の実践例を紹介します。
希望:歯間ブラシを使用して欲しい
介入:歯間ブラシとの出会い→週1回使用→週2-3回使用→習慣化したらテクニックを指導する
地道に見えますが根気強く指導することで、ゆっくりと着実に進展していった事例です。
今回の講座では、加藤先生の「EBMの5つのステップ」の進め方を、事例を通してご説明いただきました。情報収集に関しても、出来るだけストレスのない方法で、英語論文を読むのが難しいようなら自動翻訳機を使ったっていいのです。講座の中では、実際に加藤先生が使用している「PubMed」「TheSPELL」について、手順も含めてご紹介いただきました。
参加者の皆様からも、ご好評をいただいております。
〜参加者の声〜
・認知症の患者さんが自分で口腔ケアをできるようになる事例には奇跡だと感じた。そういう支援ができるように、これからは積極的に訪問歯科医や歯科衛生士に質問をしていきたい。
・EBM=エビデンスではない。エビデンスも重要だが患者さんの思いも尊重しなければ、ケアが一方通行になってしまう。すごく響きました。
最後になりましたが、貴重な講演をして頂きました加藤智崇先生、誠にありがとうございました。またご参加頂きました皆様におかれましてもオンラインのご参加を選択して頂き、感謝申し上げます。
新型コロナ終息後は対面講座も開催してまいります。是非会場に足を運んでいただき、お会いできることを楽しみにしております。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
〜お知らせ〜
BOCプロバイダー事務局では、口腔ケアに関する研究を支援するためのプロジェクトを進めております。近日中に、正式に発表いたしますので、引き続きFacebook、メールマガジン等チェックしていただけますと幸いです。
今後もBOCプロバイダーの活動を全力でサポートできるよう、努めて参ります。
引き続きよろしくお願い申し上げます。